2019年3月27日水曜日

銘柄検討:(株)MonotaRO(3064)

今回は昨日株主総会に出席した(株)MonotaRO(3064)」について見てみる。
この会社は2000年に設立された会社で、主に工場向けの間接資材をネット通販にて提供する会社である。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年12月期決算の決算短信の数字から、売上:1,096億円、営業費用(売上ー営業利益):958億円なので、営業費用売上比率=1.14
残念ながらわずかに基準の1.15を越えていないが、2017年12月期の数字では1.15だったのと、利益率を上げにくい小売業と考えると許容できるかと思う。

2. 配当性向の確認

2018年12月期で配当性向は34%である。基準の50%に満たないので、増収率を確認する。

3. 増収率の計算

この4年間の増収率は平均すると約125%で順調に伸ばしている。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

会社のwebサイトを見ると、見る限りでは中期経営計画のような資料はなさそうである。
事業戦略としては、工場資材のネット通販に注力しその力を高めようとしており、明確であることはわかる。

5. 20年後もあるか

顧客となる製造業・工場などはあるだろうし、競合となる会社もあまり思いつかない。市場規模の2%しかまだシェアがないことを考えても、20年後もあるだろう。

6. 割安度の確認

2018年12月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:138億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):83億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):33億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):28%
  • 将来配当予想(疑似ROEが28%なので4倍):132億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):6,148億円(2019/3/26終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):2.2%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):1.3倍
ということで将来的には1.3倍になる可能性があるという計算になる。

2018年10月の最高値(3,370円)で配当利回りがちょうど市場平均に近い1.6%となるので、上値目途はこの最高値付近となりあまり高くない。
ここから積極的に買いに行く値段ではなく、他の割安な銘柄を探した方がよさそう。

私の場合この株は2018年9月から何回かに分けて購入しており、平均購入価格は2,651円である。現在は若干のマイナス。まぁ割高なところで買っていないから良かったと思う。しばらく保有して上がればいくらか売るかもしれない。

山本さんの本はこちら。




2019年3月26日火曜日

株主総会出席:(株)MonotaRO(3064)

本日、(株)MonotaROの株主総会に出席したので、以下概要を記す。
なお、聞きながらのメモであり、聞き逃し・勘違い・理解不足などによる誤りも多々あると思われるが、その点はご容赦いただきたい。

(株)MonotaRO 第19期定時株主総会

1. 場所・時間

場所:尼崎リサーチインキュベーションセンター (尼崎市)
   280人分の座席に対し、6~7割程度来ていたように思う。
   製造業向けネット販売という事業のためか(?)、株主はおっちゃんの割合が非常に多かった。
時間:10時開始、11:50ごろ終了
   社長の丁寧な事業説明などもあり内容は充実していた。
   時間内訳
   ・最初の20分ほど、事業全体に対する概要説明
   ・その後約40分、各事業内容と決算内容についての詳細説明
   ・その後約50分、質疑応答と決議

2. 内容

以下の内容については、全部を記録しているわけではなく、自分が興味を持った点のメモ書きである。

2.1 事業全体の説明

  • 市場規模は5~10兆円であるが、これは2000年の創業時も5~10兆円と言っていて、変わっていない。
  • MonotaROから1日5万個の荷物を発送している。毎年約25%の売上増で、荷物の発送個数は3年で2倍になっている。
  • 昨年の大阪の台風21号の時に尼崎の物流センターは12時間停電、本社も4時間停電していた。茨城県笠間の物流センターのコールセンターを充実させるなど、自然災害に対する耐性を高めていっている。
  • 物流費の高騰もあり、今後3年間に新たな物流ネットワークを築く予定。
  • MonotaROは一物一価主義でやっている。これは最低価格というわけではない。一個でも多く買っても同じ値段ということを重視している。

2.2 ネット通販事業の説明

ネット通販事業の成長サイクルは、下記の1~4のサイクルを回している。
スケールの拡大によって利便性が向上すると考えている。
1. 取扱商品点数拡大←
   ↓      ↑
2. 顧客数拡大    ↑
   ↓      ↑
3. 在庫点数拡大   ↑
   ↓      ↑
4. 売上・利益拡大 →↑

以下、説明メモ

  • 「1. 取扱商品点数拡大」に関わる人員として約100名を充てている
  • 2011年からより多くの商品を扱うことを重視しており、その年から取り扱い商品点数が急拡大している。(2003~2010年は60~100万点、2018年は1,700万点)
  • 売上増分のうち、新規顧客によるものが半分、既存顧客の購入数増が半分というイメージ
  • Googleなどの検索結果の評価は、簡単に言うと検索後ページ遷移して、また元に戻ると点数が下がり、検索後ページ遷移して戻らなければ点数が上がるというものなので、ユーザーが元のページに戻らないように内容など考えている。
  • 当日出荷アイテム数を増やすために在庫点数は年々増やしているが、2018年は41万個と2017年の30万個に対して10万個増やした。これは笠間の物流センターを設置したことで可能になった。
  • 配達日数を1日短縮すると売上は10%増えるイメージ。
  • MonotaROは事業者向けにしかやらない。その理由は、事業者に対しては価格以上の価値・サービスがポイントになるが、一般消費者に対しては、価格が一番のポイントになりやすいからである。

2.3 購買管理システム事業の説明


  • 大手企業向けに2011年頃から(再)スタート
  • 事業者の購買システムとMonotaROのシステムをつないで、本社の一括購買を手助けする事業
  • お客様の時間を減らす(利便性を向上させる)ことを考えている。
  • MonotaRO全体に対する売上のうち、この事業の売上は2018年度の実績で12.9%。2019年度の計画は15%。前年比40~60%増で伸びている。

2.4 海外事業の説明


  • 海外事業としては2010年にZoro(USA)向けにGrainger社と始めたのが最初
  • 自社の強みはSEO対策と品揃えと考えている。
  • アジアでは中国・韓国・インドネシアに子会社を持っているが、それ以外にMonotaRO本体が東南アジアの各事業所から直接注文を受けて輸出するという事業もしている。2、3日~1週間程度で日本から直接商品が届くということでメリットを感じてもらっている。
  • インドネシア・中国はそれぞれ2016年、2018年から事業を始めたところで顧客基盤が広がるまで、黒字化には数年かかると考えている。

2.5 決算についての説明

営業利益率の増減要因(2017年度実績対2018年度実績)
  • 2017年度営業利益:14.4%
  • 配送料率増:0.6ポイント減
  • 商品ミックス・大企業連携比率増:0.3ポイント減
  • 海外ロイヤリティ収入減等:0.5ポイント減
  • 業務委託費率増:0.2ポイント減
  • 売上増に伴う比率減等:0.8ポイント増
  • 2018年度営業利益:13.6%

メモ
  • 配送料率増の対策として、配送料無料となる注文金額を従来の3,000円以上から3,500以上に変更した。また同月内7,000円以上の注文なら配送料無料としているが、これらの効果が出ている。特に同月内7,000円以上無料というのは優良顧客の購入頻度が向上している。
  • 商品ミックスはコントロールできないので、あまり気にしていない。
  • 大企業向けで利益率が若干低いのはボリュームディスカウントをしているからだが、大企業向け事業を20~30人の少数でやっているのでトータルの利益率は中小企業向けと同程度と考えている。
  • 営業利益率の2019年度計画は13.2%を予定しているが、今後は改善していきたい。


2.6 今後についての説明

  • 笠間DC(ディストリビューションセンター)の設備拡張を第2期として進めているがこれは売上が1,600億円まで対応できると考えている(2019年度売上計画は1,363億円)。
  • 2021年度に向けてさらなる能力拡大を計画中。拡張方法(尼崎DCの移転・拡張もしくは新規DC設立)は検討中
  • 笠間DCで使用中の自動搬送ロボットは合計270台。尼崎ではまだ使用していない。

3. 質疑応答

こちらも聞き書きであり、質問者・回答者の意図と異なる、抜けている可能性もある。
[Q]は質問、[A]はそれに対する回答(特記以外は鈴木社長が回答)

1.[Q]在庫点数はアイテム数に対して少ないのではないか?
1.[A]本年で6~7万個増やす計画である。ご指摘通り在庫は増やす予定。

2.[Q]検索エンジンから購買につながったものについて、購買履歴が外に漏れたりしないのか?
2.[A]自社サイト内の履歴が外に出ることはない。Googleは協働するパートナーであり、いくつかプロジェクトを進めたりはしている。

3.[Q]買掛金は増えるのか?(良いことと思っている)
3.[A]事業拡大にあわせて買掛金は増えている。

4.「Q]社名はおもしろいと思うが、イメージキャラクターが白目むいてたり目にマスクをかけたりして怪しく感じる。キャラクターも成長させてはいかが?(女性株主)
4.[A]キャラクターはモノタロウ侍という名で、認知度を上げるために作った。テレビCMを6年間やる中で、会社について20~25%の認知度だったのが、現在は全国で8割の認知度になっている。今後事業を進める中ではキャラクターを変えることも検討している。

5.「Q]今日の説明で鈴木体制がきちんと回っていると感じた。一方で瀬戸氏がいることで船頭2人で目指す方向が違うとかにはならないか?
5.[A](瀬戸氏)会社は鈴木さんのような若い人がやった方が良いだろうと思って任せた。鈴木さんに対して口出ししようという気は全くないので安心して欲しい。
(鈴木社長)1998年に社会人になって以来、瀬戸氏の下でやってきて尊敬しているし知見も請いたいと思うので、そうはならない。

6.[Q]中国・韓国は国と国との関係があまり良くなかったり、国民感情とかどうなのだろうかと思うが問題はないのか?
6.[A]一番大事なことは誠意のあるコミュニケーションだと考えている。社内に外国人社員は10~20%程度いる。日本人でも考え方の相違はあったりする。意見の相違があってもしっかり話しをすることで解決するよう考えている。

7.[Q]配当利回りが東証平均に比べるとだいぶ低いのでは?東証平均くらいに持っていけないのか?
7.[A]配当利回りは株価の影響を受ける。当社のPERは50~60倍であり、東証平均の13倍に対して約3倍ほど高い。配当利回りも3倍すれば、東証平均と同等と考える。
一方、配当性向は25~35%としているが、これは徐々にでも上げたい。

8.[Q]社員に対して給料のベースアップなどきちんとできているか?
8.[A]会社の業績アップにあわせて改善している。

9.[Q]外から見た視点など、瀬戸さんの立場から社長に対して言いたいこととかないのか?
9.[Q](瀬戸氏)鈴木社長に任せてはいるが、もちろん意見が異なることはある。それは伝えている。取締役会での意見などもきちんと聞いてもらっていると思う。

10.[Q]これまで順調に成長してきたが、今後同じように成長できるのか?
10.[A]5兆円の市場規模に対し当社の売上は1,000億強であり、まだ2%のシェアである。これまでやってきたように、新たな手法などで4~5倍くらいは増やしたい。ただ売上を目標にはしていない。瀬戸氏の時から重視しているのは「バッターボックスに立つこと」。常にチャレンジしより多くの学びを得ることで新たな視点が出来たりする。

11.[Q]大手企業向け事業の割合、個人と大手の利益率など教えて欲しい。
11.[A]大手企業向け事業の割合は15%(2019年度計画)。通常のネット事業ではキャンペーンなどをやっていてマーケティング費用を4~5%ほどかけている。大手向けはこれらの費用がかからないので、その分ボリュームディスカウントにしている。また大手向け事業はこちらから営業するのではなく、先方より「システムをつないで欲しい」との要望を受けて出向くことがほとんどなので、営業費用もかかっていない。トータルでは同程度の利益率と考えている。

12.[Q]今まで売上予想との乖離はあったと思うが、今後の見通しを教えて欲しい。
12.[A]予想に対して2017年度はプラス、2018年度はマイナスだったと記憶している。2019年度に対しては達成可能とみている。

以上で質問がなくなり、おわり。

4. 議決

2点の議案につき、特に質問などもなく決議し終了。

5. おまけ

退出時お土産をいただきました。
内容はMonotaROブランドの4層プリーツマスク、ウェットティッシュ、16GBのmicroSDカード。
一般消費者でも使えそうなものでした。
と書いた後でマスクの箱を開けてみると、薄いブルーのマスクでした。色つきのマスクは使いにくいかな。。?

以上、初めてのMonotaROの株主総会だったが、鈴木社長の説明は丁寧でわかりやすく、どんな質問でもよどみなく回答する感じで、好感が持て満足しました。

株主総会のお土産



2019年3月23日土曜日

銘柄検討:日本エス・エイチ・エル(株)(4327)

今回は「日本エス・エイチ・エル(株)(4327)」について見てみる。
この会社は1987年に設立された会社で、主に会社の社員の採用試験時などに行う適性テストのツール・サービスを提供する会社である。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年9月期決算の決算短信の数字から、売上:27億円、営業費用(売上ー営業利益):15億円なので、営業費用売上比率=1.8
基準の1.15を越えているので、投資対象となりうる。

2. 配当性向の確認

2018年9月期で配当性向は50%である。基準の50%を満たしている。少なくともこの6年はほぼ50%の配当性向を維持している。

3. 増収率の計算

配当性向が50%なので増収率は見なくても良いのだが、増収率はここ数年前年比106%前後と安定して増収している。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

中期経営計画としての資料はないが、サイトに「成長のシナリオ」という記述がある。これが中期経営計画のようなものである。
これによると、
  • 新卒採用市場をコア事業として戦力を集中させる
  • 新卒採用市場でのシェアを現時点の3割程度から5割まで伸ばす
  • アセスメントツールのweb化による利益率向上
  • 新卒以外の社員向けアセスメントツールの事業拡大
などを成長のシナリオとして掲げている。
人材のアセスメント評価ツールの提供を引き続き行うということで事業戦略は明確であると考える。


5. 20年後もあるか

人材の評価ツールで効率的に評価を行いたいという効率化の動きは今後も継続するだろうし、これからもさらに人材の流動化が進むとすれば、20年後もなんらかの評価ツールという意味では存在しているのではないだろうか。

6. 割安度の確認

2018年9月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:11億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):7億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):2.8億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):16%
  • 将来配当予想(疑似ROEが16%なので3倍):8.4億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):110億円(2019/3/22終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):7.6%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):4.8倍
ということで将来的には4.8倍になる可能性があるという計算になる。

2009年から順調に右肩上がりで株価が上がってきて2017年9月に2605円の最高値をつけてからは2018年の12年まで下がり、約46%株価を下げた。
今年に入ってからは若干回復している。
また配当性向が50%で安定していて利益が増えれば、その分配当額も増えるし、株価の上昇余地も増えるだろう。
売上などの業績は変わらず安定しているので、買っても良さそうだ。

ということで、こちらも今年に入ってからいくらか買って保有している。

山本さんの本はこちら。




2019年3月12日火曜日

銘柄検討:全国保証(株)(7164)

今回は「全国保証(株)(7164)」について見てみる。
この会社は1981年に設立された会社で、主に個人向け住宅ローンを中心とした信用保証を事業として行う会社である。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年3月期決算の決算短信の数字から、売上:396億円、営業費用(売上ー営業利益):84億円なので、営業費用売上比率=4.7
基準の1.15を大きく越えているので、投資対象となりうる。
これは自分のスクリーニング対象企業の中でも抜群の数字である。
少ない営業費用で効率よく大きな売上を上げている会社である。

2. 配当性向の確認

2018年3月期で配当性向は24.9%である。基準の50%に満たないので、増収率を確認する。

3. 増収率の計算

この4年間の増収率は毎年約110%前後で安定的に営業収益、営業利益とも伸ばしている。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

2017~2019年の3カ年の中期経営計画がある。
これによると今まで着実に積み上げてきた保証債務残高をさらに増やそうとしており、方向性としては明確である。

5. 20年後もあるか

住宅ローンは数十年に渡って支払うものであるから、当然20年後もあるだろう。また独立系の中ではトップクラスの企業であり、提携金融機関も多く、ビジネスとしてはしばらくは盤石だろう。

6. 割安度の確認

2018年3月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:312億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):187億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):75億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):17%
  • 将来配当予想(疑似ROEが17%なので3倍):224億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):2,834億円(2019/3/11終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):7.9%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):5倍
ということで将来的には5倍になる可能性があるという計算になる。

2012年の東証一部上場以降、順調に右肩上がりで株価が上がってきたが、2018年1月に最高値をつけてから2018年の1年で約40%株価を下げた。
株価を下げた要因はよくわからない。
提携金融機関が信用金庫・信用組合は95%前後、銀行は8割超とこれから増やす余地はあまりなく、残っているのはJAくらい。(現時点のJAの提携シェアは約43%)
提携金融機関を今後それほど増やせないだろうということで、今までほどのペースで保証債務を増やせないだろうとの見立てなのか?
まぁでもそれだけ提携金融機関が多いということは、それだけ顧客を増やしやすいだろうし、なにより事業の特性から売上などが安定しているのがよい。

ということで、こちらもいくらか保有している。

山本さんの本はこちら。




2019年2月28日木曜日

銘柄検討:福井コンピュータホールディングス(株)(9790)

今回は「福井コンピュータホールディングス(株)(9790)」について見てみる。
この会社は1979年に設立した会社で、建築系と土木・測量系の建設業向けCADソフトウェアメーカーである。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年3月期決算の決算短信の数字から、売上:109億円、営業費用(売上ー営業利益):72億円なので、営業費用売上比率=1.51
基準の1.15を越えているので、投資対象となりうる。

2. 配当性向の確認

2018年3月期で配当性向は30.3%である。基準の50%に満たないので、増収率を確認する。

3. 増収率の計算

2015年3月期が減収となっているがそれ以外の年度はこの10年間増収を続けており、順調に事業を伸ばしている。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

資料としては簡単なものだが、2016年度に策定した2016~2019年の3カ年の中期経営計画がある。
これによると国内の住宅市場・公共投資など市場の縮小は見込まれるが、CADソフトウェアを通じて建築・土木・測量業界の3D化を推進して、業界のICT(情報通信技術)の普及と業務効率化を支援するとある。

5. 20年後もあるか

国土交通省が推進するi-Constructionはまだ大企業が中心であり、中小企業への普及はこれからとのことである(2018年3月の事業報告書より)。ということで、ソフトの導入はまだ増えていくのだろう。
また、各社の建材、住宅機器、インテリア商品のデータを組み合わせて3Dでweb状で確認できたり、VRを活用して住宅空間を事前に活用するなど、いろんなアプリケーションがこれからも出てきそうである。

6. 割安度の確認

2018年3月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:37億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):22億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):8.9億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):25%
  • 将来配当予想(疑似ROEが25%なので4倍):35億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):438億円(2019/2/27終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):8.1%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):5倍
ということで将来的には5倍になる可能性があるという計算になる。

売上・利益剰余金など順調に増えており、配当性向も30%程度で安定している。

株価は2017年6月に4,210円の高値をつけて以来、1年半ほど下げトレンドで約半値にまで下がったが、今年に入って反発している。こちらの株もいくらか購入してみた。


山本さんの本はこちら。




2019年2月24日日曜日

銘柄検討:(株)JCU(4975)

今回は「(株)JCU(4975)」について見てみる。
この会社は1968年に荏原製作所とアメリカのユージライト社等の出資で出来た「荏原ユージライト株式会社」が始まりで、2003年にMBOして独立した会社である。2018年に会社設立50年を迎えた。
事業としてはプリント基板向けエッチング薬品、自動車部品用エッチング薬品およびその装置を主に行っている。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年3月期決算の決算短信の数字から、売上:231億円、営業費用(売上ー営業利益):162億円なので、営業費用売上比率=1.43
基準の1.15を越えているので、投資対象となりうる。

2. 配当性向の確認

2018年3月期で配当性向は24%である。基準の50%に満たないので、増収率を確認する。

3. 増収率の計算

2018年3月期で7期連続増収となっており、順調に事業を伸ばしている。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

2017年度に策定した2019~2021年の3カ年の中期経営計画がある。
これによると本業である薬品事業の競争力強化(次世代技術に対応した新製品開発)と海外市場での成長を目標達成のための戦略としている。

5. 20年後もあるか

メッキ・エッチングなどはそれぞれ基本技術であり、なくならないだろう。

6. 割安度の確認

2018年3月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:69億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):42億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):17億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):18%
  • 将来配当予想(疑似ROEが18%なので3倍):50億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):515億円(2019/2/22終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):9.7%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):6.1倍
ということで将来的には6.1倍になる可能性があるという計算になる。

売上・利益剰余金など順調に増えており、配当性向も20%程度で安定している。

株価は2018年10月以降約半値に下がっているが、今年に入って反発している。これからしばらくは伸びるだろうと判断し、こちらもいくらか購入してみた。


山本さんの本はこちら。




2019年2月23日土曜日

銘柄検討:ユニゾホールディングス(株)(3258)

山本潤氏の「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」を読んで、いくつかの株を検討してみた。
それをいくつか書いてみようと思う。
まずは「ユニゾホールディングス(株)(3258)」について。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年3月期決算の決算短信の数字から、売上:525億円、営業費用(売上ー営業利益):349億円なので、営業費用売上比率=1.5
基準の1.15を越えているので、投資対象となりうる。

2. 配当性向の確認

2018年3月期で配当性向は25.5%である。基準の50%に満たないので、増収率を確認する。

3. 増収率の計算

2014年3月期の売上219億円から2018年3月期にかけて4期連続増収となっており、順調に売上を伸ばしている。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

2017年度に立案した3カ年の中期経営計画がある。
これによると東京都心での集中した不動産事業、アメリカの不動産事業、ユニゾブランドのホテル事業の2つの事業を進めていくとなっており、わかりやすく明確である。

5. 20年後もあるか

不動産もホテルも事業が順調であればそのまま継続しているだろう。
これから先数年で考えると、2020年の東京オリンピックや、2025年の大阪万博、あるいはインバウンドなどによる旅行需要などで、それなりに順調では?と思う。

6. 割安度の確認

こちらも本に沿って、2018年3月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:175億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):105億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):42億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):12%
  • 将来配当予想(疑似ROEが12%なので2倍):84億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):619億円(2019/2/22終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):13.6%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):8.5倍
ということで将来的には8.5倍になる可能性があるという計算になる。

配当もここ10年は安定しており、この数年は増配もしているので、しばらく継続するだろうと思う。

株価も2016年の高値から約3割程度の水準まで下がって、今は落ち着いているようにみえるので、いくらか購入してみた。


山本さんの本はこちら。



2019年2月22日金曜日

確定申告の完了と住民税の課税方式の選択申請

本日e-Taxで確定申告を完了させた。

入力までは先日済ませていたので、最後の確認をして、マイナンバーカードを使用してオンライン上でデータを送信して完了。
見直してみると案外、銀行口座の三菱UFJ銀行が三菱東京UFJ銀行のままだったりするのを見つけるので、見直しも重要である。気づいて良かったと思いながら修正しておく。

確定申告としてはこれで完了なのだが、今年は初めて「住民税の課税方式を所得税とは違う方式にする」手続きを行う。
要は、配当所得は「総合課税」で申告し、住民税は源泉徴収による「申告不要」で処理してもらう手続きである。

手続きに必要な書類は何か?
最近は各市町村のページに上記手続きにかかる情報がきちんと記載されているので、自分の居住地の情報を確認する。
残念ながら市町村によって申請フォーマットなどが微妙に異なるので、自分の市町村のものを見ることが重要である。

さて、必要なものを見ると、
印鑑、本人確認書類、確定申告書の控え、配当所得・株式譲渡所得等の内容がわかるもの(特定口座年間取引報告書など)とある。

特定口座年間取引報告書まで本当にいるのかな?住民税の金額だったら確定申告書に記載してあるじゃん?と思いながら、初めてのことなので、全部印刷してもっていく。

家にはプリンターがないので、コンビニのネットプリントでの出力である。
ちなみにネットプリントであるが、本日初めてpdfの全ページ印刷だけでなく、必要なページのみの印刷も出来ることがわかった。(今まで全ページ印刷しかできないのかと思ってた)

役場まで出向き市民税の窓口に行くと、確定申告の時期なので、人員を増やして特別コーナーとなっている。
せっかくe-taxで確定申告してもこれじゃぁあまりメリットないなぁと思いながらも、列に並ぶ。10人近く並んでいたが、みんなわりと簡単な相談なのか案外早く進んだ。

窓口の順番に来たので「住民税の課税方式を所得税とは違うものに申請したい」旨伝える。
窓口の人(以下、窓口氏)はすぐに意味がわかったようで申請書類をくれる。

確定申告書の控えを渡し、確認してもらいながら、以下の申請する旨記載する。

  • 配当所得:所得税は総合課税、住民税は申告不要制度
  • 譲渡所得:所得税は申告分離課税、住民税は申告不要制度

窓口氏は確定申告書を見て電卓をたたきながら記載の金額が正しいかを確認していく。
「配当所得には株式以外に投資信託なども合算しています?」などと聞いて、しばらく確認のために席を離れていった。
5分近くは待ったか。
何かややこしいことあるのかな?と思いながら、株式と投信などのそれぞれの住民税の金額もわかるように特定口座年間取引報告書を見せる。

源泉徴収で引いているものには、株式の配当、株式・投資信託の譲渡益の他に、国外株式・国外投資信託のものもある。
それを見て納得したようである。

窓口氏の説明によると、課税方式を異なるものに出来るものの対象に国外の株式の分が含まれるのかどうかがきちんと確認しないとわからないらしい。

それについてはわかり次第連絡をもらうことになった。手続きとして何か別途必要になるわけではないらしい。

今回の課税方式の変更によって、確定申告に若干の影響がでてきそうなことがわかった。
前回の記事で外国税額控除について記載したが、今年の確定申告では外国税額控除が所得税だけからは引き切れず、道府県民税からも一部控除されている。
しかし住民税を申告不要にするとこの控除限度額の道府県民税・市町村民税分も「なかったこと」になり、この辺の計算が変わってくるようである。
ここまでくるともう自分にはお手上げ、役場の方で良いようにやってもらうしかない。
また良いようにやってくれそうである。

結局、確定申告書の控え・特定口座年間取引報告書を全部コピー取ってもらって申請書と一緒に提出し、手続き完了。
必要な書類はやっぱり持ってきて良かった。

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さて、帰宅して課税方式の変更の範囲内に外国株も入るのか、自分なりに調べてみた。
まず国税庁のパンフレットに「上場株式等の利子・配当・収益の分配、譲渡」について「住民税の課税方式について、所得税と異なる課税方式を選択する」ことが可能と書いてあり、「上場株式等」について
  • 【株式等で金融商品取引所に上場されているもの】
  • 【投資信託でその設定に係る受益権の募集が公募により行われたものの受益権】
  • 【特定公社債】
など
としか書いてない。
さらに調べてみると、「上場株式等」の定義というページがあり、ここにようやく
  • ⑥ 外国金融商品市場において売買されている株式等
  • ⑫ 外国又はその地方公共団体が発行し、又は保証する債券
などと記載してあるのを見つけた。
これによって、「上場株式等」の範囲内には外国株式も含むであろうということがわかった。

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ただ、いつまでも紙ベースでやるのは大変そうである。
地方税版のe-TaxでeLtaxなんてのもあるようだから、早いとこ電子的に申請できるようにしてもらいたいものである。



2019年2月18日月曜日

外国税額控除はなかなか複雑。。

複利のチカラで億り人さんのブログ記事:「配当金生活に米国株は向いてない?配当の二重課税問題は意外に深刻だった」を読んだ。
なるほど、そういうこともあるのね、と思い、自分の確定申告の書類を見てみると、外国税額控除というのは色々複雑な制度だなということがわかったので、その紹介をする。

ちなみに私の場合、外国税額控除の申請は2年前の2016年(H28)分の確定申告から。
それ以前は、調査不足もあるが国税庁の確定申告書等作成コーナー(以下、「作成コーナー」)の入力ページでどこにどう入力すればいいのかよくわからず、そもそも控除を放棄していた。
最近は楽天証券の書類でも特定口座年間取引報告書に外国所得税額を記載してくれているし(H26以前は別書類だった)わかりやすくなった。

1. 過去3年の外国税額控除の確認

1.1 2016年(H28)分の確定申告

結論:外国所得税額が控除限度額の範囲内に収まっており、問題なし。

作成コーナーで外国税額控除の金額を入力すると、確定申告書類の1つとして「外国税額控除に関する明細書」という書類が作成される。
この明細書に具体的な計算がなされているので、これを追ってみる。
以下で出てくる文言・記号はこの明細書に合わせている。

外国税額と控除限度額の計算(明細書中3の表)
項目 金額
外国所得税額(C) 61,594
所得税額① 1,541,100
総所得額② 13,044,065
国外所得総額③ 621,477
控除限度額④=①×③/② 73,424

この年はまだ働いていて給与所得があったのと、株式の売却益もいくらかあったので、それらの合計である総所得額②が大きかった。
このため、外国所得税額(C)が控除限度額④の金額よりも少なく、外国所得税額の分がそのまま外国税額控除㊸として61,594円分控除された。

1.2 2017年(H29)分の確定申告

結論:外国所得税額が控除限度額を超過しており、所得税額分控除されず

この年の分の「外国税額控除に関する明細書」の計算を見てみる。

外国税額と控除限度額の計算(明細書中3、4の表)
項目 金額
外国所得税額(C) 55,991
所得税額① 430,600
総所得額② 6,508,700
国外所得総額③ 570,266
控除限度額④=①×③/② 37,727
復興所得税⑤=①×2.1% 9,042
控除限度額⑧=⑤×③/② 792

控除限度額と超過額の計算(明細書中5の表)
項目 金額
所得税(二)=④ 37,727
復興特別所得税(ホ)=⑧ 792
道府県民税(ヘ)=(二)x12% 4,527
市町村民税(ト)=(二)x18% 6,790
控除限度額合計(チ)=(二)+(ホ)+(ヘ)+(ト) 49,836
外国所得税額(リ)=(C) 55,991
控除限度超過額(カ)=(リ)-(チ) 6,155

この年は仕事を辞めた年で、給与収入は前年の約半分、また株式の売却益も少なかったので総所得額②は前年の約半分となり、所得税額①も低かった。
そのため外国所得税額(C)は控除限度額④を越えた。
ただし、控除限度額はこれだけではなく、明細書の5の表で計算されるように、
復興特別所得税と市民税分の控除限度額もあり3割強増える。

これでも控除限度額を6,155円超えている。

しかし、優遇措置があり、前3年以内に外国税額控除を申告しており、そこに控除余裕額があれば、その分も差し引いてくれる。
計算がややこしくなりすぎるのでここには載せないが、所得税法第95条第2項、第3項による控除税額だそうだ。

結果として、控除限度額37,792円に復興特別所得税の控除限度額792円と、前記所得税法第95条第2項による控除額6,155円を加えて、外国税額控除㊸の額は44,674円となった。

1.3 2018年(H30)分の確定申告

結論:外国所得税額が所得税の控除限度額を超過しており、所得税額分控除されず

この年の分の「外国税額控除に関する明細書」の計算を見てみる。

外国税額と控除限度額の計算(明細書中3、4の表)
項目金額
外国所得税額(C)71,204
所得税額①842,590
総所得額②9,689,095
国外所得総額③739,132
控除限度額④=①×③/②64,276
復興所得税⑤=①×2.1%17,694
控除限度額⑧=⑤×③/②1,349

控除限度額と超過額の計算(明細書中5の表)
項目金額
所得税(二)=④64,276
復興特別所得税(ホ)=⑧1,349
道府県民税(ヘ)=(二)x12%7,713
市町村民税(ト)=(二)x18%11,569
控除限度額合計(チ)=(二)+(ホ)+(ヘ)+(ト)84,907
外国所得税額(リ)=(C)71,204

この年は仕事を全くしていない年で、総合課税の所得は配当所得のみだが、ここで計算する総所得額②には株式の売却益による所得(要は申告分離課税分の所得)も含む。結果として売却したものが多かったので、総所得額②もそれなりに多くなった。
そのため外国所得税額(C)は控除限度額④を越えたが、前年の所でみたように、復興特別所得税と市民税分の控除限度額もあり3割強増える。
結果として外国所得税額(C)は控除限度額合計(チ)よりは越えてない。

しかし、外国税額控除㊸として控除してくれるのは所得税(二)と復興特別所得税(ホ)の分を合計した65,625円である。

1.4 まとめ

以上、3年分を見てきた通り、現在の外国税額と所得の水準というのはだいたい外国税額控除が80~90%くらいは戻ってくる水準であることがわかった。
また非常に複雑で、単純な計算ではないこともわかった。

ただこれは確定申告書の作成コーナーを使用して、特定口座の明細、外国税額の金額などを入力すれば計算自体は自動でやってくれるので、計算自体を覚える必要はない。

2. これからどうするか

外国税額控除による戻しをある程度得ようと思えば、あまりこれ以上外国株・海外ETFの比率を増やすのは得策ではなさそうである。
日本株の比率を増やして配当所得を増やすこと、総合課税にすることで配当にかかる税率を下げることを重視した方がよさそうだ。
他にも、

  • 配当を出さない投資信託の配分を増やす(所得を抑える)
  • 二重課税のないADRの銘柄を持つ
  • 二重課税を考慮しても株価が上昇しそうな外国株を持つ

とか、いろいろ考え得るが、結局それらのキャピタルゲインとインカムゲインがどうなるか、外国株の場合はさらに為替水準の変動によっても利益は変わってしまうので、厳密には計算できない。
それぞれをそれなりの比率で持っておくのが良いかと思う。




2019年2月4日月曜日

山本潤著「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」読了

著者の山本氏を知ったのは、「億の近道」というメルマガの記事を読んでいるからですでに10年以上も前になり、自分にとってはなじみの人である。
ちなみに「億の近道」というメルマガが始まったのは、1999年。
ちょうど自分が投資を始めた頃で、投資関連の情報を探していて見つけた。
当時のSNSはブログもTwitterもFacebookもまだなく、メルマガを発行して読んでもらうというのがメジャーなシステムだった。
投資関連の情報といえば、今も昔も情弱な人から金を巻き上げようというような(?)怪しげなものが多いが、その中で「億の近道」は個人投資家に寄り添うような、あるいは啓蒙するような感じで異色のものだったと思う。
過去形のような形で書いているが、このメルマガは20年経つ現在でも継続しており、ブログ形式でも公開されているので、現在はfeedlyで読んでいる。
親切なことに過去記事を全部公開しており、読むことが出来る。

さて、自分が個別株投資をする際に、どのように銘柄選択をしていたかというと、
・高利益率の会社あるいは財務体質の良いを探して、良さそうな会社を選ぶ。
  →成長性が株価に織り込まれていたりして、株価があまりあがらない。あるいは、何かあると株価が大きく下がることもある
・低PER・低PBRの会社を探す
  →魅力的な会社が少ない
・配当利回りの高い会社を探す
  →成長性があまりなさそうで、魅力的な会社が少ない
という感じでほとんど成功していない。

今までにいくつか投資本を買ってみたものの、「優良企業の探し方は書いてあっても、株価水準が適切かどうかはわからない」「チャートやモメンタムで考えても、その先株価が上がるのか下がるのかはやっぱりわからない」ということで、結局なかなか参考になるものはなかった。

そういう中で、今回の山本氏の本は、どのような会社を選ぶかに合わせて、現在の株価水準が(市場平均に対して)割安かどうかまでを簡単な計算で求める方法を丁寧に示してくれている。
しかも会社の利益成長の度合いをベースに計算するので、納得性も高い。
また、現時点では配当が少なかったり、PERが高い成長企業でも、あるいは配当性向の高い成熟企業でも同じ計算で比較ができるので、会社間の比較もしやすい。

ということで、非常に満足度の高い本であった。

さっそく、自分の保有株で計算してみたり、新たにスクリーニングをして指標的に良さそうな銘柄を探してみたりして、自分のポートフォリオを入れ替えてみた。

あとは、試算した結果が正しいかどうかを確認するには、適切な年数我慢強くその株を保有するという、自分の忍耐性が必要になってくる。あとは、配当が出ている時は、その配当再投資がきちんとできるかどうか。
ここは自分の努力次第。

まぁでも株価水準が適切かどうかも明確にわかるので、「今の株価が高いのか?安いのか?」と過度に不安になることもなく、穏やかに待てそうである。