2022年3月29日火曜日

株主総会出席:(株)MonotaRO(3064)

 ここ数年出席している、MonotaROの株主総会。昨年はインターネット中継を自宅で視聴したが今年は会場に行ってみる。

今までは本社がある尼崎市でやっていたが、今年は大阪駅の近くで開催。

なお、以下は聞きながらのメモであり、聞き逃し・勘違い・理解不足などによる誤りも多々あると思われるが、その点はご容赦いただきたい。


(株)MonotaRO 第22期定時株主総会

1. 場所・時間

場所:ホテルグランヴィア大阪 20F 名庭の間(大阪市北区)
   インターネット中継あり
日時:2022/03/29(火)10時~11:30
150名ほどの座席が用意され、出席したのは60名程度か。女性の株主もちらほら見える。

2. 内容(説明)

鈴木社長の議事進行で始まる。
最初にインターネット中継をしており、出席株主のプライバシーを配慮して、役員席を中心に映しているが一般株主も映る可能性があることの説明があった。
株主総会のネット中継はいくつか見ているが、ここまできちんと説明・対応しているのは初めて見た気がする。

監査報告は書面を見ておいてね、で終わり。

事業報告と今後の課題の説明。

その中で聞いたトピック的なことを書くと、
  • 韓国事業はようやく売上の増加割合が販管費の増加割合より増えてきて、利益が出やすくなる段階になってきた。
  • 連結で見ると、国内の売上はまだ95%を占めている。
  • 昨年(?)顧客にアンケートを取ったが、製造業の顧客の内、今までに1回でもMonotaROで商品を買ったことがある顧客は40%いた。既存顧客のシェアは10%程度とみている。(アンケートの対象者とか詳細は不明)
  • 中国からの海上輸送コンテナのコストは5~10倍くらいになっている。
  • 今までは年2回のカタログ発行時に価格の見直しをしていたが、今後は適宜行うことにする。
  • 30ページほどのチラシを配っているのだが、この内容を顧客ごとに掲載アイテムをカスタマイズできるようになった。オンラインだけでなく、オフライン(紙媒体)でも顧客がより買いそうなものを提示できるようになった。
  • 社内のITシステムは今までは内製していたが、それも大変になってきているので今後どうしていくかは検討が必要。
  • 猪名川DCの規模は尼崎の3倍、笠間の2倍。生産性は笠間は尼崎の2倍になっており、猪名川はさらに笠間の倍を目指す。(本年4月から稼働開始)
  • インドやインドネシアは国内の配送網がまだ未成熟なため、発送に1週間かかるようなところもある。そのような地域ではネットで買うよりは近所のお店から買った方が利便性が高い。そのため配送網についても改善が必要。
10:46に以上のような内容を含めた熱い説明が終わる。

決議事項の説明があり、質疑応答の時間。

3. 内容(質疑応答)

質問数に制限を設けることはなく、質問を受けていた。すべて鈴木社長が回答。
以下の内容も自分の聞き書きであり、質問者・回答者の意図と異なる、抜けている可能性もある。

1.[Q] 海外事業はインドネシアやインドもまだ赤字のようだが、社長はどのように指導しているのか?

1.[A] 事業開始から5年ほどはどうしても売上より費用がかかってしまうので赤字になる。韓国は事業開始から7、8年経つこともあり黒字化できている。インドネシアは事業開始から6年だがまだ赤字。売上を伸ばす方策を繰り返すのみ。インドは参入から1年だが、顧客の増え方などを見ると今後有望と感じている。品揃えの充実などで顧客の利便性をよくしていきたい。なぜ赤字を出してまで海外事業をするのかと思うかもしれないが、今後20~30年のことを考えると、海外でも事業を行うことは必須と考えている。

2.[Q] 「場所の定めのない株主総会」とはインターネットを使うと言うことか?うちは電話会社に聞いてどうやってもインターネットが引けない家と言われているので、ネットだけだと困る。

2.[A] 最初の質問はイエス。バーチャルオンリー総会は、感染症の感染拡大時期などに検討できるようにしておくためであり、すぐにバーチャルオンリーにすることはない。

3.[Q] 物流費の上昇に対し、価格転嫁を機動的に行うとのことだが、シェア向上のチャンスでもあるのでは、同業他社との兼ね合いで、価格上昇のタイミングを遅らすとかそのあたりの考えを教えて欲しい。

3.[A] まず事業は年度計画を達成するためにどうするかを考え、努力している。仕入れ値は価格上昇と円安により5割あがったアイテムもある。ただ今までにも2012年頃の20%の円安とか、円安の経験はあるので、今後も同様に対応していく。事業上一番大事にしていることは商品の供給を途切れさせないようにすることである。会社としては適切な利潤を得て、それを元に顧客への価値を提供していいきたいので、安易に価格を下げてシェアを取るというようなことはしない。

4.[Q] 事業説明の中で見せていただいた猪名川DCの紹介ビデオだが、画面の文字とかが見えなかったので、後でもう1度見せて欲しい。

4.[A] 総会終了後にもう1度流します。

5.[Q] カントリーリスクの考え方を知りたい。

5.[A] ロシア・ウクライナとの取引・事業はほとんどない。一番のカントリーリスクといえば、中国から商品調達できなくなるリスクと考えている。サプライヤーを東南アジアや日本にも広げるかという検討やアクションはしている。

5.[Q](続) カントリーリスクというのは進出先のことを聞きたかった。

5.[A](続) 進出先を決めるのは「その国における事業規模が一定程度以上あるか?」を判断している。まずは越境ECを利用してそのような可能性があるかを探している(シンガポールなど)。進出先を決めるのはその先のこと。

6.[Q] 量の向上ばかり追ってるようにも見えるが、質の向上についてどのように考えているか?

6.[A] 規模の向上には質の改善が必要と考えている。今まで3~4年で売上を倍にしているが、それは同じことをしていてはできない。毎年数%の生産性改善だけでは追いつかない。供給体制は新ITシステムで改善したい。

6.[Q](続) 説明がよくわからなかった。

6.[A](続) 質の向上ができない時は、売上が増えてもコストがよりかかってしまうと思う。1つ1つの作業・オペレーションの質を上げることで、売上とともに利益も伸ばせると考えている。

7.[Q] Amazonなどとの競争をどう考えているか?

7.[A] Amazonとの差別化はBtoBに特化することだと考えている。顧客の事業者が満足するようにサービスを改善している。顧客が欲しいものを検索した時に、それをきちんと提示できることが重要と考えている。

7.[Q](続) これもよくわからない。

7.[A](続) Amazonでは商品を検索した時に、仕事に必要ないものまで出てくる。それだけ?と思われるかもしれないが、それが重要と考えている。(筆者注:顧客の商品購入プロセスの短縮・効率化が一番重要と考えているのだろう)

8.[Q] 他の会社の株主総会も出ているが、鈴木社長は自分の言葉で熱弁しているので良いと思う。会社の行動規範にある「傾聴」の姿勢を大事にして欲しい。お願いとして、社会貢献活動の1つとして、災害発生時に必要な資材を提供するなど、ボランティア活動のサポートなどしてはいかがか。

8.[A] 傾聴について言うと、毎週全社員からの週報を役員含めて読んでいるので、それも傾聴の1つと考えている。災害支援については、東日本大震災の時に多賀城に物流センター(?)を置いたり、その後の災害でも支援物資の要請があったりするので、その時に必要なものを提供している。

以上で質問がなくなり、質疑応答終了。

最後に決議事項の採決を取り、すべて採択された後、取締役・執行役の紹介。

11:30ごろすべて終了。


顧客にどのような価値を提供するか、何を大事にするかなどの考え方がしっかりしており、今後もぶれずに事業運営を続けて行くのだろうなということを思う。









2022年3月25日金曜日

株主総会出席:(株)シノプス(4428)

 本日、シノプスの株主総会に初めて出席。

ライブ配信もあるとのことだったが、どのような感じの会社かを知るためにも会場で出席することにした。


(株)シノプス 第35期定時株主総会 +会社説明会

1.場所・時間

場所:東京建物梅田ビル 地下2F APホールⅡ(大阪市北区)

   シノプス本社が入っているビルの会議室

日時:2022/3/25(金)

10:00時開始、10:30過ぎ終了(株主総会)、11:50ごろ終了(会社説明会)

座席は18席用意されていて、一般株主は9名の参加。すべて男性。

配信もあるためか、スタッフさんの数の方が明らかに多く、こちらとしては少し落ち着かない感じ。

株主総会後に会社説明会を行うとのアナウンスも開始前にあった。


2.内容(概要)

  • 南谷社長が議事進行
  • 監査結果の報告は監査等委員会の人が文書を見ながら説明(読み上げ)。
  • 事業報告・対処すべき課題について、社長が一通り説明。とはいえ、招集ご通知に書いてある内容の読み上げ。
  • 計算書類についても貸借対照表について簡単に説明。
  • 決議事項・議案の説明
  • 質疑応答
  • 最後に議案ごとに採決をとってすべて可決。


3.内容(質疑応答)

質疑応答は1件だけのあっさりしたものだった。
以下の内容は自分の聞き書きであり、質問者・回答者の意図と異なる、抜けている可能性もある。

[Q]は質問、[A]はそれに対する回答(社長が回答)


1.[Q] 伊藤忠商事との協業の提携の効果と、その効果の今後の見通しは?

1.[A] 効果の1つは株価が上がったこと。ビジネス上はまだこれから。今後についてはまだ協業について協議中であり、まとまれば今後IRなどで出す予定をしているので、その発表を待ってほしい。

ここで質問はなくなったので、決議事項を1件ずつ決議を行い、10:30過ぎには株主総会終了。


10分間休憩ののち、会社説明会をするというので、そちらも出席することにする。


4.会社説明会

監査役の人と、取締役の後ろにいた書記?の人、何人かのスタッフは退席し、取締役3名が出席。(他2名の取締役は、株主総会もリモートで出席していたので、この場にはおらず)。

一般株主は1名減り、8名が出席。

最初に、議事進行の方が予定時間を1時間くらいと言ったので、「そんなにやるのか」と思ってしまった。

南谷社長が2022年12月期会社方針の資料を基に説明。

株主総会の時の形式ばった感じの文章読み上げとは異なり、自分の言葉で熱意をもって話す感じとの差が、興味深かった。


4.1 会社説明会からのメモ

社長が話した内容から、資料に乗らないような事柄を中心に以下メモ書き。

事業の説明はこちらの資料などをご参考に。


  • シェア40%を目指すところの、40%という数字は、ランチェスター戦略で40%あれば安定的な地位が得られるところから設定している。
  • 小売り全体のシェア率17.4%に対し、スーパーではすでに32.5%に達している。2022/12の目標はスーパーのシェアで38%。
  • 主要ターゲットとして売上400億円以上としているのは、リアルタイムでの売り上げ情報や在庫数が把握できるようなシステム(インフラ)を入れている会社がそれくらいというところで、過去の経験値から設定している。もちろん売上400億以下でもこれらのシステムを入れている会社なら対象となりうる。
  • スーパーではコロナ禍で、お客様のニーズが惣菜から冷食に大きくシフトして惣菜の値引きロスが大きく出てしまった。そこでスーパーから相談を受け、惣菜用の在庫予測システムを作った。これに対してスーパーからのニーズが高い。
  • 有効アカウント数における「アカウント」は1つのサービスごとに1アカウントとなっている。スーパー1店舗あたり平均2.1アカウント。サービスの数は今12あるので、多くのサービスを入れてもらえれば、この数字も増える。
  • シノプスのコアの部分は単品ごとの需要予測・在庫計算。1時間ごとに予測の数字を出している。PI値という、1000人の顧客のうち何人に支持されるかという指標を商品ごとに定期的に算出して出している。
  • スーパーで値引きシールを貼るのは、パートやアルバイトの人。社員さんは働き方改革で18時とかにはもう帰ってしまっているから。だから値引き率を決めたり、値引きシールの枚数も適当になってしまっている。そこでサトーとの協業による自動値引き率設定&値引きシール印刷が有効。

以上のようなことを交えながら、50分ほど説明していた。
その後質疑応答。

4.2 会社説明会での質疑応答

以下の内容は自分の聞き書きであり、質問者・回答者の意図と異なる、抜けている可能性もある。

1.[Q] 近所の成城石井に行くが、多くの店員さんが棚に張り付いていて、聞いている説明と見ている風景がずいぶん違うように感じる。

また、在庫管理のやりすぎで、商品を選ぶ時に商品が少ししか残ってないと、選ぶ客としては残念に思う。そのあたりどうしているのか?

1.[A] 会社によって方針は全然異なる。例えば惣菜がどれくらい残るのを許容するかとか、商品の在庫がどれくらいになったら発注をかけるかとか。棚ががらんどうになっても見た目良くないし、ドラッグストアは化粧品などで単価が高いものは在庫が1個あれば良いというところもある。またアプローチの仕方(欠品を減らすのか、在庫が増えるのを抑制するのか)も違ったりするので、最初にこの辺の考え方を聞くことから始めている。成城石井さんにはまだシノプスは入っていないし、会社独自の考え方でオペレーションしているのだろう。


2.[Q] 製品としてパッケージ版とクラウド版とあるが、機能面での違いなどあれば教えてほしい。

2.[A] まずはパッケージ版だと固定資産となり減価償却がかかるというのはある。パッケージ版はR6というバージョンが現行バージョンだが、その内容を全部はまだクラウドに移行できていないので、細かいところの違いはある。クラウド版は新しい機能をどんどん付加していっているイメージ。


3.[Q] 現在はスーパーがメインで今後他業界に展開するのだと思うが、他業界に展開するうえで、コアの部分はどの程度共用できるのかとか差がどれくらいあるのかないのかというあたりを教えてほしい。

3.[A] 自分の大学の時の卒論のテーマが需要予測だったこともあり、需要予測の考え方は昔からほとんど変わらない。現在食品スーパーに注力しているのは、ニーズが高くて他社ができないところだから、自社に優位性があるので積極的にやっている。アパレルなど他業界も積極的にやってないだけで、未知の問題があるとかそういうことはない。在庫の時間もスーパーに比べると長い。


4.[Q] 原材料費とか上がっているが、値上げに対する対応?(質問の内容がよくわからず)

4.[A] 当社ではシステムを導入するときに、「低減効果があった分の1/3は欲しい」と言っている。そうは言っても最初から1/3もらうことが難しい場合もあるが、それでも「10%ください」ならOKと言われる(最初に3割と言っているから)。たとえ1割分しかもらえてないところでも、IRや導入事例として積極的にしゃべってもらって広告塔になってもらったりしている。


5.[Q] 現在のところ西日本の売上が大きいが、関東はこれからどう進めるのか?

5.[A] 5年前に東京営業所を作ってから、関東の顧客とも話しをしやすくなっていて、東急ストアさんなどお客さんもついている。会社数が多く、分母が大きいので、なかなか目に見えにくいが、関東も集中してやっていきたい。


以上で、質問がなくなり、11:50ごろに終了。


株主総会だけではもったいない感じだった。

会社説明会の内容も聞けて、出席して良かった。