2019年2月28日木曜日

銘柄検討:福井コンピュータホールディングス(株)(9790)

今回は「福井コンピュータホールディングス(株)(9790)」について見てみる。
この会社は1979年に設立した会社で、建築系と土木・測量系の建設業向けCADソフトウェアメーカーである。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年3月期決算の決算短信の数字から、売上:109億円、営業費用(売上ー営業利益):72億円なので、営業費用売上比率=1.51
基準の1.15を越えているので、投資対象となりうる。

2. 配当性向の確認

2018年3月期で配当性向は30.3%である。基準の50%に満たないので、増収率を確認する。

3. 増収率の計算

2015年3月期が減収となっているがそれ以外の年度はこの10年間増収を続けており、順調に事業を伸ばしている。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

資料としては簡単なものだが、2016年度に策定した2016~2019年の3カ年の中期経営計画がある。
これによると国内の住宅市場・公共投資など市場の縮小は見込まれるが、CADソフトウェアを通じて建築・土木・測量業界の3D化を推進して、業界のICT(情報通信技術)の普及と業務効率化を支援するとある。

5. 20年後もあるか

国土交通省が推進するi-Constructionはまだ大企業が中心であり、中小企業への普及はこれからとのことである(2018年3月の事業報告書より)。ということで、ソフトの導入はまだ増えていくのだろう。
また、各社の建材、住宅機器、インテリア商品のデータを組み合わせて3Dでweb状で確認できたり、VRを活用して住宅空間を事前に活用するなど、いろんなアプリケーションがこれからも出てきそうである。

6. 割安度の確認

2018年3月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:37億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):22億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):8.9億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):25%
  • 将来配当予想(疑似ROEが25%なので4倍):35億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):438億円(2019/2/27終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):8.1%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):5倍
ということで将来的には5倍になる可能性があるという計算になる。

売上・利益剰余金など順調に増えており、配当性向も30%程度で安定している。

株価は2017年6月に4,210円の高値をつけて以来、1年半ほど下げトレンドで約半値にまで下がったが、今年に入って反発している。こちらの株もいくらか購入してみた。


山本さんの本はこちら。




2019年2月24日日曜日

銘柄検討:(株)JCU(4975)

今回は「(株)JCU(4975)」について見てみる。
この会社は1968年に荏原製作所とアメリカのユージライト社等の出資で出来た「荏原ユージライト株式会社」が始まりで、2003年にMBOして独立した会社である。2018年に会社設立50年を迎えた。
事業としてはプリント基板向けエッチング薬品、自動車部品用エッチング薬品およびその装置を主に行っている。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年3月期決算の決算短信の数字から、売上:231億円、営業費用(売上ー営業利益):162億円なので、営業費用売上比率=1.43
基準の1.15を越えているので、投資対象となりうる。

2. 配当性向の確認

2018年3月期で配当性向は24%である。基準の50%に満たないので、増収率を確認する。

3. 増収率の計算

2018年3月期で7期連続増収となっており、順調に事業を伸ばしている。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

2017年度に策定した2019~2021年の3カ年の中期経営計画がある。
これによると本業である薬品事業の競争力強化(次世代技術に対応した新製品開発)と海外市場での成長を目標達成のための戦略としている。

5. 20年後もあるか

メッキ・エッチングなどはそれぞれ基本技術であり、なくならないだろう。

6. 割安度の確認

2018年3月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:69億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):42億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):17億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):18%
  • 将来配当予想(疑似ROEが18%なので3倍):50億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):515億円(2019/2/22終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):9.7%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):6.1倍
ということで将来的には6.1倍になる可能性があるという計算になる。

売上・利益剰余金など順調に増えており、配当性向も20%程度で安定している。

株価は2018年10月以降約半値に下がっているが、今年に入って反発している。これからしばらくは伸びるだろうと判断し、こちらもいくらか購入してみた。


山本さんの本はこちら。




2019年2月23日土曜日

銘柄検討:ユニゾホールディングス(株)(3258)

山本潤氏の「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」を読んで、いくつかの株を検討してみた。
それをいくつか書いてみようと思う。
まずは「ユニゾホールディングス(株)(3258)」について。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年3月期決算の決算短信の数字から、売上:525億円、営業費用(売上ー営業利益):349億円なので、営業費用売上比率=1.5
基準の1.15を越えているので、投資対象となりうる。

2. 配当性向の確認

2018年3月期で配当性向は25.5%である。基準の50%に満たないので、増収率を確認する。

3. 増収率の計算

2014年3月期の売上219億円から2018年3月期にかけて4期連続増収となっており、順調に売上を伸ばしている。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

2017年度に立案した3カ年の中期経営計画がある。
これによると東京都心での集中した不動産事業、アメリカの不動産事業、ユニゾブランドのホテル事業の2つの事業を進めていくとなっており、わかりやすく明確である。

5. 20年後もあるか

不動産もホテルも事業が順調であればそのまま継続しているだろう。
これから先数年で考えると、2020年の東京オリンピックや、2025年の大阪万博、あるいはインバウンドなどによる旅行需要などで、それなりに順調では?と思う。

6. 割安度の確認

こちらも本に沿って、2018年3月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:175億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):105億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):42億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):12%
  • 将来配当予想(疑似ROEが12%なので2倍):84億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):619億円(2019/2/22終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):13.6%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):8.5倍
ということで将来的には8.5倍になる可能性があるという計算になる。

配当もここ10年は安定しており、この数年は増配もしているので、しばらく継続するだろうと思う。

株価も2016年の高値から約3割程度の水準まで下がって、今は落ち着いているようにみえるので、いくらか購入してみた。


山本さんの本はこちら。



2019年2月22日金曜日

確定申告の完了と住民税の課税方式の選択申請

本日e-Taxで確定申告を完了させた。

入力までは先日済ませていたので、最後の確認をして、マイナンバーカードを使用してオンライン上でデータを送信して完了。
見直してみると案外、銀行口座の三菱UFJ銀行が三菱東京UFJ銀行のままだったりするのを見つけるので、見直しも重要である。気づいて良かったと思いながら修正しておく。

確定申告としてはこれで完了なのだが、今年は初めて「住民税の課税方式を所得税とは違う方式にする」手続きを行う。
要は、配当所得は「総合課税」で申告し、住民税は源泉徴収による「申告不要」で処理してもらう手続きである。

手続きに必要な書類は何か?
最近は各市町村のページに上記手続きにかかる情報がきちんと記載されているので、自分の居住地の情報を確認する。
残念ながら市町村によって申請フォーマットなどが微妙に異なるので、自分の市町村のものを見ることが重要である。

さて、必要なものを見ると、
印鑑、本人確認書類、確定申告書の控え、配当所得・株式譲渡所得等の内容がわかるもの(特定口座年間取引報告書など)とある。

特定口座年間取引報告書まで本当にいるのかな?住民税の金額だったら確定申告書に記載してあるじゃん?と思いながら、初めてのことなので、全部印刷してもっていく。

家にはプリンターがないので、コンビニのネットプリントでの出力である。
ちなみにネットプリントであるが、本日初めてpdfの全ページ印刷だけでなく、必要なページのみの印刷も出来ることがわかった。(今まで全ページ印刷しかできないのかと思ってた)

役場まで出向き市民税の窓口に行くと、確定申告の時期なので、人員を増やして特別コーナーとなっている。
せっかくe-taxで確定申告してもこれじゃぁあまりメリットないなぁと思いながらも、列に並ぶ。10人近く並んでいたが、みんなわりと簡単な相談なのか案外早く進んだ。

窓口の順番に来たので「住民税の課税方式を所得税とは違うものに申請したい」旨伝える。
窓口の人(以下、窓口氏)はすぐに意味がわかったようで申請書類をくれる。

確定申告書の控えを渡し、確認してもらいながら、以下の申請する旨記載する。

  • 配当所得:所得税は総合課税、住民税は申告不要制度
  • 譲渡所得:所得税は申告分離課税、住民税は申告不要制度

窓口氏は確定申告書を見て電卓をたたきながら記載の金額が正しいかを確認していく。
「配当所得には株式以外に投資信託なども合算しています?」などと聞いて、しばらく確認のために席を離れていった。
5分近くは待ったか。
何かややこしいことあるのかな?と思いながら、株式と投信などのそれぞれの住民税の金額もわかるように特定口座年間取引報告書を見せる。

源泉徴収で引いているものには、株式の配当、株式・投資信託の譲渡益の他に、国外株式・国外投資信託のものもある。
それを見て納得したようである。

窓口氏の説明によると、課税方式を異なるものに出来るものの対象に国外の株式の分が含まれるのかどうかがきちんと確認しないとわからないらしい。

それについてはわかり次第連絡をもらうことになった。手続きとして何か別途必要になるわけではないらしい。

今回の課税方式の変更によって、確定申告に若干の影響がでてきそうなことがわかった。
前回の記事で外国税額控除について記載したが、今年の確定申告では外国税額控除が所得税だけからは引き切れず、道府県民税からも一部控除されている。
しかし住民税を申告不要にするとこの控除限度額の道府県民税・市町村民税分も「なかったこと」になり、この辺の計算が変わってくるようである。
ここまでくるともう自分にはお手上げ、役場の方で良いようにやってもらうしかない。
また良いようにやってくれそうである。

結局、確定申告書の控え・特定口座年間取引報告書を全部コピー取ってもらって申請書と一緒に提出し、手続き完了。
必要な書類はやっぱり持ってきて良かった。

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さて、帰宅して課税方式の変更の範囲内に外国株も入るのか、自分なりに調べてみた。
まず国税庁のパンフレットに「上場株式等の利子・配当・収益の分配、譲渡」について「住民税の課税方式について、所得税と異なる課税方式を選択する」ことが可能と書いてあり、「上場株式等」について
  • 【株式等で金融商品取引所に上場されているもの】
  • 【投資信託でその設定に係る受益権の募集が公募により行われたものの受益権】
  • 【特定公社債】
など
としか書いてない。
さらに調べてみると、「上場株式等」の定義というページがあり、ここにようやく
  • ⑥ 外国金融商品市場において売買されている株式等
  • ⑫ 外国又はその地方公共団体が発行し、又は保証する債券
などと記載してあるのを見つけた。
これによって、「上場株式等」の範囲内には外国株式も含むであろうということがわかった。

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ただ、いつまでも紙ベースでやるのは大変そうである。
地方税版のe-TaxでeLtaxなんてのもあるようだから、早いとこ電子的に申請できるようにしてもらいたいものである。



2019年2月18日月曜日

外国税額控除はなかなか複雑。。

複利のチカラで億り人さんのブログ記事:「配当金生活に米国株は向いてない?配当の二重課税問題は意外に深刻だった」を読んだ。
なるほど、そういうこともあるのね、と思い、自分の確定申告の書類を見てみると、外国税額控除というのは色々複雑な制度だなということがわかったので、その紹介をする。

ちなみに私の場合、外国税額控除の申請は2年前の2016年(H28)分の確定申告から。
それ以前は、調査不足もあるが国税庁の確定申告書等作成コーナー(以下、「作成コーナー」)の入力ページでどこにどう入力すればいいのかよくわからず、そもそも控除を放棄していた。
最近は楽天証券の書類でも特定口座年間取引報告書に外国所得税額を記載してくれているし(H26以前は別書類だった)わかりやすくなった。

1. 過去3年の外国税額控除の確認

1.1 2016年(H28)分の確定申告

結論:外国所得税額が控除限度額の範囲内に収まっており、問題なし。

作成コーナーで外国税額控除の金額を入力すると、確定申告書類の1つとして「外国税額控除に関する明細書」という書類が作成される。
この明細書に具体的な計算がなされているので、これを追ってみる。
以下で出てくる文言・記号はこの明細書に合わせている。

外国税額と控除限度額の計算(明細書中3の表)
項目 金額
外国所得税額(C) 61,594
所得税額① 1,541,100
総所得額② 13,044,065
国外所得総額③ 621,477
控除限度額④=①×③/② 73,424

この年はまだ働いていて給与所得があったのと、株式の売却益もいくらかあったので、それらの合計である総所得額②が大きかった。
このため、外国所得税額(C)が控除限度額④の金額よりも少なく、外国所得税額の分がそのまま外国税額控除㊸として61,594円分控除された。

1.2 2017年(H29)分の確定申告

結論:外国所得税額が控除限度額を超過しており、所得税額分控除されず

この年の分の「外国税額控除に関する明細書」の計算を見てみる。

外国税額と控除限度額の計算(明細書中3、4の表)
項目 金額
外国所得税額(C) 55,991
所得税額① 430,600
総所得額② 6,508,700
国外所得総額③ 570,266
控除限度額④=①×③/② 37,727
復興所得税⑤=①×2.1% 9,042
控除限度額⑧=⑤×③/② 792

控除限度額と超過額の計算(明細書中5の表)
項目 金額
所得税(二)=④ 37,727
復興特別所得税(ホ)=⑧ 792
道府県民税(ヘ)=(二)x12% 4,527
市町村民税(ト)=(二)x18% 6,790
控除限度額合計(チ)=(二)+(ホ)+(ヘ)+(ト) 49,836
外国所得税額(リ)=(C) 55,991
控除限度超過額(カ)=(リ)-(チ) 6,155

この年は仕事を辞めた年で、給与収入は前年の約半分、また株式の売却益も少なかったので総所得額②は前年の約半分となり、所得税額①も低かった。
そのため外国所得税額(C)は控除限度額④を越えた。
ただし、控除限度額はこれだけではなく、明細書の5の表で計算されるように、
復興特別所得税と市民税分の控除限度額もあり3割強増える。

これでも控除限度額を6,155円超えている。

しかし、優遇措置があり、前3年以内に外国税額控除を申告しており、そこに控除余裕額があれば、その分も差し引いてくれる。
計算がややこしくなりすぎるのでここには載せないが、所得税法第95条第2項、第3項による控除税額だそうだ。

結果として、控除限度額37,792円に復興特別所得税の控除限度額792円と、前記所得税法第95条第2項による控除額6,155円を加えて、外国税額控除㊸の額は44,674円となった。

1.3 2018年(H30)分の確定申告

結論:外国所得税額が所得税の控除限度額を超過しており、所得税額分控除されず

この年の分の「外国税額控除に関する明細書」の計算を見てみる。

外国税額と控除限度額の計算(明細書中3、4の表)
項目金額
外国所得税額(C)71,204
所得税額①842,590
総所得額②9,689,095
国外所得総額③739,132
控除限度額④=①×③/②64,276
復興所得税⑤=①×2.1%17,694
控除限度額⑧=⑤×③/②1,349

控除限度額と超過額の計算(明細書中5の表)
項目金額
所得税(二)=④64,276
復興特別所得税(ホ)=⑧1,349
道府県民税(ヘ)=(二)x12%7,713
市町村民税(ト)=(二)x18%11,569
控除限度額合計(チ)=(二)+(ホ)+(ヘ)+(ト)84,907
外国所得税額(リ)=(C)71,204

この年は仕事を全くしていない年で、総合課税の所得は配当所得のみだが、ここで計算する総所得額②には株式の売却益による所得(要は申告分離課税分の所得)も含む。結果として売却したものが多かったので、総所得額②もそれなりに多くなった。
そのため外国所得税額(C)は控除限度額④を越えたが、前年の所でみたように、復興特別所得税と市民税分の控除限度額もあり3割強増える。
結果として外国所得税額(C)は控除限度額合計(チ)よりは越えてない。

しかし、外国税額控除㊸として控除してくれるのは所得税(二)と復興特別所得税(ホ)の分を合計した65,625円である。

1.4 まとめ

以上、3年分を見てきた通り、現在の外国税額と所得の水準というのはだいたい外国税額控除が80~90%くらいは戻ってくる水準であることがわかった。
また非常に複雑で、単純な計算ではないこともわかった。

ただこれは確定申告書の作成コーナーを使用して、特定口座の明細、外国税額の金額などを入力すれば計算自体は自動でやってくれるので、計算自体を覚える必要はない。

2. これからどうするか

外国税額控除による戻しをある程度得ようと思えば、あまりこれ以上外国株・海外ETFの比率を増やすのは得策ではなさそうである。
日本株の比率を増やして配当所得を増やすこと、総合課税にすることで配当にかかる税率を下げることを重視した方がよさそうだ。
他にも、

  • 配当を出さない投資信託の配分を増やす(所得を抑える)
  • 二重課税のないADRの銘柄を持つ
  • 二重課税を考慮しても株価が上昇しそうな外国株を持つ

とか、いろいろ考え得るが、結局それらのキャピタルゲインとインカムゲインがどうなるか、外国株の場合はさらに為替水準の変動によっても利益は変わってしまうので、厳密には計算できない。
それぞれをそれなりの比率で持っておくのが良いかと思う。




2019年2月4日月曜日

山本潤著「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」読了

著者の山本氏を知ったのは、「億の近道」というメルマガの記事を読んでいるからですでに10年以上も前になり、自分にとってはなじみの人である。
ちなみに「億の近道」というメルマガが始まったのは、1999年。
ちょうど自分が投資を始めた頃で、投資関連の情報を探していて見つけた。
当時のSNSはブログもTwitterもFacebookもまだなく、メルマガを発行して読んでもらうというのがメジャーなシステムだった。
投資関連の情報といえば、今も昔も情弱な人から金を巻き上げようというような(?)怪しげなものが多いが、その中で「億の近道」は個人投資家に寄り添うような、あるいは啓蒙するような感じで異色のものだったと思う。
過去形のような形で書いているが、このメルマガは20年経つ現在でも継続しており、ブログ形式でも公開されているので、現在はfeedlyで読んでいる。
親切なことに過去記事を全部公開しており、読むことが出来る。

さて、自分が個別株投資をする際に、どのように銘柄選択をしていたかというと、
・高利益率の会社あるいは財務体質の良いを探して、良さそうな会社を選ぶ。
  →成長性が株価に織り込まれていたりして、株価があまりあがらない。あるいは、何かあると株価が大きく下がることもある
・低PER・低PBRの会社を探す
  →魅力的な会社が少ない
・配当利回りの高い会社を探す
  →成長性があまりなさそうで、魅力的な会社が少ない
という感じでほとんど成功していない。

今までにいくつか投資本を買ってみたものの、「優良企業の探し方は書いてあっても、株価水準が適切かどうかはわからない」「チャートやモメンタムで考えても、その先株価が上がるのか下がるのかはやっぱりわからない」ということで、結局なかなか参考になるものはなかった。

そういう中で、今回の山本氏の本は、どのような会社を選ぶかに合わせて、現在の株価水準が(市場平均に対して)割安かどうかまでを簡単な計算で求める方法を丁寧に示してくれている。
しかも会社の利益成長の度合いをベースに計算するので、納得性も高い。
また、現時点では配当が少なかったり、PERが高い成長企業でも、あるいは配当性向の高い成熟企業でも同じ計算で比較ができるので、会社間の比較もしやすい。

ということで、非常に満足度の高い本であった。

さっそく、自分の保有株で計算してみたり、新たにスクリーニングをして指標的に良さそうな銘柄を探してみたりして、自分のポートフォリオを入れ替えてみた。

あとは、試算した結果が正しいかどうかを確認するには、適切な年数我慢強くその株を保有するという、自分の忍耐性が必要になってくる。あとは、配当が出ている時は、その配当再投資がきちんとできるかどうか。
ここは自分の努力次第。

まぁでも株価水準が適切かどうかも明確にわかるので、「今の株価が高いのか?安いのか?」と過度に不安になることもなく、穏やかに待てそうである。