2019年3月27日水曜日

銘柄検討:(株)MonotaRO(3064)

今回は昨日株主総会に出席した(株)MonotaRO(3064)」について見てみる。
この会社は2000年に設立された会社で、主に工場向けの間接資材をネット通販にて提供する会社である。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年12月期決算の決算短信の数字から、売上:1,096億円、営業費用(売上ー営業利益):958億円なので、営業費用売上比率=1.14
残念ながらわずかに基準の1.15を越えていないが、2017年12月期の数字では1.15だったのと、利益率を上げにくい小売業と考えると許容できるかと思う。

2. 配当性向の確認

2018年12月期で配当性向は34%である。基準の50%に満たないので、増収率を確認する。

3. 増収率の計算

この4年間の増収率は平均すると約125%で順調に伸ばしている。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

会社のwebサイトを見ると、見る限りでは中期経営計画のような資料はなさそうである。
事業戦略としては、工場資材のネット通販に注力しその力を高めようとしており、明確であることはわかる。

5. 20年後もあるか

顧客となる製造業・工場などはあるだろうし、競合となる会社もあまり思いつかない。市場規模の2%しかまだシェアがないことを考えても、20年後もあるだろう。

6. 割安度の確認

2018年12月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:138億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):83億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):33億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):28%
  • 将来配当予想(疑似ROEが28%なので4倍):132億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):6,148億円(2019/3/26終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):2.2%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):1.3倍
ということで将来的には1.3倍になる可能性があるという計算になる。

2018年10月の最高値(3,370円)で配当利回りがちょうど市場平均に近い1.6%となるので、上値目途はこの最高値付近となりあまり高くない。
ここから積極的に買いに行く値段ではなく、他の割安な銘柄を探した方がよさそう。

私の場合この株は2018年9月から何回かに分けて購入しており、平均購入価格は2,651円である。現在は若干のマイナス。まぁ割高なところで買っていないから良かったと思う。しばらく保有して上がればいくらか売るかもしれない。

山本さんの本はこちら。




2019年3月26日火曜日

株主総会出席:(株)MonotaRO(3064)

本日、(株)MonotaROの株主総会に出席したので、以下概要を記す。
なお、聞きながらのメモであり、聞き逃し・勘違い・理解不足などによる誤りも多々あると思われるが、その点はご容赦いただきたい。

(株)MonotaRO 第19期定時株主総会

1. 場所・時間

場所:尼崎リサーチインキュベーションセンター (尼崎市)
   280人分の座席に対し、6~7割程度来ていたように思う。
   製造業向けネット販売という事業のためか(?)、株主はおっちゃんの割合が非常に多かった。
時間:10時開始、11:50ごろ終了
   社長の丁寧な事業説明などもあり内容は充実していた。
   時間内訳
   ・最初の20分ほど、事業全体に対する概要説明
   ・その後約40分、各事業内容と決算内容についての詳細説明
   ・その後約50分、質疑応答と決議

2. 内容

以下の内容については、全部を記録しているわけではなく、自分が興味を持った点のメモ書きである。

2.1 事業全体の説明

  • 市場規模は5~10兆円であるが、これは2000年の創業時も5~10兆円と言っていて、変わっていない。
  • MonotaROから1日5万個の荷物を発送している。毎年約25%の売上増で、荷物の発送個数は3年で2倍になっている。
  • 昨年の大阪の台風21号の時に尼崎の物流センターは12時間停電、本社も4時間停電していた。茨城県笠間の物流センターのコールセンターを充実させるなど、自然災害に対する耐性を高めていっている。
  • 物流費の高騰もあり、今後3年間に新たな物流ネットワークを築く予定。
  • MonotaROは一物一価主義でやっている。これは最低価格というわけではない。一個でも多く買っても同じ値段ということを重視している。

2.2 ネット通販事業の説明

ネット通販事業の成長サイクルは、下記の1~4のサイクルを回している。
スケールの拡大によって利便性が向上すると考えている。
1. 取扱商品点数拡大←
   ↓      ↑
2. 顧客数拡大    ↑
   ↓      ↑
3. 在庫点数拡大   ↑
   ↓      ↑
4. 売上・利益拡大 →↑

以下、説明メモ

  • 「1. 取扱商品点数拡大」に関わる人員として約100名を充てている
  • 2011年からより多くの商品を扱うことを重視しており、その年から取り扱い商品点数が急拡大している。(2003~2010年は60~100万点、2018年は1,700万点)
  • 売上増分のうち、新規顧客によるものが半分、既存顧客の購入数増が半分というイメージ
  • Googleなどの検索結果の評価は、簡単に言うと検索後ページ遷移して、また元に戻ると点数が下がり、検索後ページ遷移して戻らなければ点数が上がるというものなので、ユーザーが元のページに戻らないように内容など考えている。
  • 当日出荷アイテム数を増やすために在庫点数は年々増やしているが、2018年は41万個と2017年の30万個に対して10万個増やした。これは笠間の物流センターを設置したことで可能になった。
  • 配達日数を1日短縮すると売上は10%増えるイメージ。
  • MonotaROは事業者向けにしかやらない。その理由は、事業者に対しては価格以上の価値・サービスがポイントになるが、一般消費者に対しては、価格が一番のポイントになりやすいからである。

2.3 購買管理システム事業の説明


  • 大手企業向けに2011年頃から(再)スタート
  • 事業者の購買システムとMonotaROのシステムをつないで、本社の一括購買を手助けする事業
  • お客様の時間を減らす(利便性を向上させる)ことを考えている。
  • MonotaRO全体に対する売上のうち、この事業の売上は2018年度の実績で12.9%。2019年度の計画は15%。前年比40~60%増で伸びている。

2.4 海外事業の説明


  • 海外事業としては2010年にZoro(USA)向けにGrainger社と始めたのが最初
  • 自社の強みはSEO対策と品揃えと考えている。
  • アジアでは中国・韓国・インドネシアに子会社を持っているが、それ以外にMonotaRO本体が東南アジアの各事業所から直接注文を受けて輸出するという事業もしている。2、3日~1週間程度で日本から直接商品が届くということでメリットを感じてもらっている。
  • インドネシア・中国はそれぞれ2016年、2018年から事業を始めたところで顧客基盤が広がるまで、黒字化には数年かかると考えている。

2.5 決算についての説明

営業利益率の増減要因(2017年度実績対2018年度実績)
  • 2017年度営業利益:14.4%
  • 配送料率増:0.6ポイント減
  • 商品ミックス・大企業連携比率増:0.3ポイント減
  • 海外ロイヤリティ収入減等:0.5ポイント減
  • 業務委託費率増:0.2ポイント減
  • 売上増に伴う比率減等:0.8ポイント増
  • 2018年度営業利益:13.6%

メモ
  • 配送料率増の対策として、配送料無料となる注文金額を従来の3,000円以上から3,500以上に変更した。また同月内7,000円以上の注文なら配送料無料としているが、これらの効果が出ている。特に同月内7,000円以上無料というのは優良顧客の購入頻度が向上している。
  • 商品ミックスはコントロールできないので、あまり気にしていない。
  • 大企業向けで利益率が若干低いのはボリュームディスカウントをしているからだが、大企業向け事業を20~30人の少数でやっているのでトータルの利益率は中小企業向けと同程度と考えている。
  • 営業利益率の2019年度計画は13.2%を予定しているが、今後は改善していきたい。


2.6 今後についての説明

  • 笠間DC(ディストリビューションセンター)の設備拡張を第2期として進めているがこれは売上が1,600億円まで対応できると考えている(2019年度売上計画は1,363億円)。
  • 2021年度に向けてさらなる能力拡大を計画中。拡張方法(尼崎DCの移転・拡張もしくは新規DC設立)は検討中
  • 笠間DCで使用中の自動搬送ロボットは合計270台。尼崎ではまだ使用していない。

3. 質疑応答

こちらも聞き書きであり、質問者・回答者の意図と異なる、抜けている可能性もある。
[Q]は質問、[A]はそれに対する回答(特記以外は鈴木社長が回答)

1.[Q]在庫点数はアイテム数に対して少ないのではないか?
1.[A]本年で6~7万個増やす計画である。ご指摘通り在庫は増やす予定。

2.[Q]検索エンジンから購買につながったものについて、購買履歴が外に漏れたりしないのか?
2.[A]自社サイト内の履歴が外に出ることはない。Googleは協働するパートナーであり、いくつかプロジェクトを進めたりはしている。

3.[Q]買掛金は増えるのか?(良いことと思っている)
3.[A]事業拡大にあわせて買掛金は増えている。

4.「Q]社名はおもしろいと思うが、イメージキャラクターが白目むいてたり目にマスクをかけたりして怪しく感じる。キャラクターも成長させてはいかが?(女性株主)
4.[A]キャラクターはモノタロウ侍という名で、認知度を上げるために作った。テレビCMを6年間やる中で、会社について20~25%の認知度だったのが、現在は全国で8割の認知度になっている。今後事業を進める中ではキャラクターを変えることも検討している。

5.「Q]今日の説明で鈴木体制がきちんと回っていると感じた。一方で瀬戸氏がいることで船頭2人で目指す方向が違うとかにはならないか?
5.[A](瀬戸氏)会社は鈴木さんのような若い人がやった方が良いだろうと思って任せた。鈴木さんに対して口出ししようという気は全くないので安心して欲しい。
(鈴木社長)1998年に社会人になって以来、瀬戸氏の下でやってきて尊敬しているし知見も請いたいと思うので、そうはならない。

6.[Q]中国・韓国は国と国との関係があまり良くなかったり、国民感情とかどうなのだろうかと思うが問題はないのか?
6.[A]一番大事なことは誠意のあるコミュニケーションだと考えている。社内に外国人社員は10~20%程度いる。日本人でも考え方の相違はあったりする。意見の相違があってもしっかり話しをすることで解決するよう考えている。

7.[Q]配当利回りが東証平均に比べるとだいぶ低いのでは?東証平均くらいに持っていけないのか?
7.[A]配当利回りは株価の影響を受ける。当社のPERは50~60倍であり、東証平均の13倍に対して約3倍ほど高い。配当利回りも3倍すれば、東証平均と同等と考える。
一方、配当性向は25~35%としているが、これは徐々にでも上げたい。

8.[Q]社員に対して給料のベースアップなどきちんとできているか?
8.[A]会社の業績アップにあわせて改善している。

9.[Q]外から見た視点など、瀬戸さんの立場から社長に対して言いたいこととかないのか?
9.[Q](瀬戸氏)鈴木社長に任せてはいるが、もちろん意見が異なることはある。それは伝えている。取締役会での意見などもきちんと聞いてもらっていると思う。

10.[Q]これまで順調に成長してきたが、今後同じように成長できるのか?
10.[A]5兆円の市場規模に対し当社の売上は1,000億強であり、まだ2%のシェアである。これまでやってきたように、新たな手法などで4~5倍くらいは増やしたい。ただ売上を目標にはしていない。瀬戸氏の時から重視しているのは「バッターボックスに立つこと」。常にチャレンジしより多くの学びを得ることで新たな視点が出来たりする。

11.[Q]大手企業向け事業の割合、個人と大手の利益率など教えて欲しい。
11.[A]大手企業向け事業の割合は15%(2019年度計画)。通常のネット事業ではキャンペーンなどをやっていてマーケティング費用を4~5%ほどかけている。大手向けはこれらの費用がかからないので、その分ボリュームディスカウントにしている。また大手向け事業はこちらから営業するのではなく、先方より「システムをつないで欲しい」との要望を受けて出向くことがほとんどなので、営業費用もかかっていない。トータルでは同程度の利益率と考えている。

12.[Q]今まで売上予想との乖離はあったと思うが、今後の見通しを教えて欲しい。
12.[A]予想に対して2017年度はプラス、2018年度はマイナスだったと記憶している。2019年度に対しては達成可能とみている。

以上で質問がなくなり、おわり。

4. 議決

2点の議案につき、特に質問などもなく決議し終了。

5. おまけ

退出時お土産をいただきました。
内容はMonotaROブランドの4層プリーツマスク、ウェットティッシュ、16GBのmicroSDカード。
一般消費者でも使えそうなものでした。
と書いた後でマスクの箱を開けてみると、薄いブルーのマスクでした。色つきのマスクは使いにくいかな。。?

以上、初めてのMonotaROの株主総会だったが、鈴木社長の説明は丁寧でわかりやすく、どんな質問でもよどみなく回答する感じで、好感が持て満足しました。

株主総会のお土産



2019年3月23日土曜日

銘柄検討:日本エス・エイチ・エル(株)(4327)

今回は「日本エス・エイチ・エル(株)(4327)」について見てみる。
この会社は1987年に設立された会社で、主に会社の社員の採用試験時などに行う適性テストのツール・サービスを提供する会社である。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年9月期決算の決算短信の数字から、売上:27億円、営業費用(売上ー営業利益):15億円なので、営業費用売上比率=1.8
基準の1.15を越えているので、投資対象となりうる。

2. 配当性向の確認

2018年9月期で配当性向は50%である。基準の50%を満たしている。少なくともこの6年はほぼ50%の配当性向を維持している。

3. 増収率の計算

配当性向が50%なので増収率は見なくても良いのだが、増収率はここ数年前年比106%前後と安定して増収している。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

中期経営計画としての資料はないが、サイトに「成長のシナリオ」という記述がある。これが中期経営計画のようなものである。
これによると、
  • 新卒採用市場をコア事業として戦力を集中させる
  • 新卒採用市場でのシェアを現時点の3割程度から5割まで伸ばす
  • アセスメントツールのweb化による利益率向上
  • 新卒以外の社員向けアセスメントツールの事業拡大
などを成長のシナリオとして掲げている。
人材のアセスメント評価ツールの提供を引き続き行うということで事業戦略は明確であると考える。


5. 20年後もあるか

人材の評価ツールで効率的に評価を行いたいという効率化の動きは今後も継続するだろうし、これからもさらに人材の流動化が進むとすれば、20年後もなんらかの評価ツールという意味では存在しているのではないだろうか。

6. 割安度の確認

2018年9月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:11億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):7億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):2.8億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):16%
  • 将来配当予想(疑似ROEが16%なので3倍):8.4億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):110億円(2019/3/22終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):7.6%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):4.8倍
ということで将来的には4.8倍になる可能性があるという計算になる。

2009年から順調に右肩上がりで株価が上がってきて2017年9月に2605円の最高値をつけてからは2018年の12年まで下がり、約46%株価を下げた。
今年に入ってからは若干回復している。
また配当性向が50%で安定していて利益が増えれば、その分配当額も増えるし、株価の上昇余地も増えるだろう。
売上などの業績は変わらず安定しているので、買っても良さそうだ。

ということで、こちらも今年に入ってからいくらか買って保有している。

山本さんの本はこちら。




2019年3月12日火曜日

銘柄検討:全国保証(株)(7164)

今回は「全国保証(株)(7164)」について見てみる。
この会社は1981年に設立された会社で、主に個人向け住宅ローンを中心とした信用保証を事業として行う会社である。

山本氏の本にしたがって、投資候補となり得るか検討してみる。

1. 営業費用売上比率の計算

2018年3月期決算の決算短信の数字から、売上:396億円、営業費用(売上ー営業利益):84億円なので、営業費用売上比率=4.7
基準の1.15を大きく越えているので、投資対象となりうる。
これは自分のスクリーニング対象企業の中でも抜群の数字である。
少ない営業費用で効率よく大きな売上を上げている会社である。

2. 配当性向の確認

2018年3月期で配当性向は24.9%である。基準の50%に満たないので、増収率を確認する。

3. 増収率の計算

この4年間の増収率は毎年約110%前後で安定的に営業収益、営業利益とも伸ばしている。

4. 中期経営計画の有無、事業戦略が明確か

2017~2019年の3カ年の中期経営計画がある。
これによると今まで着実に積み上げてきた保証債務残高をさらに増やそうとしており、方向性としては明確である。

5. 20年後もあるか

住宅ローンは数十年に渡って支払うものであるから、当然20年後もあるだろう。また独立系の中ではトップクラスの企業であり、提携金融機関も多く、ビジネスとしてはしばらくは盤石だろう。

6. 割安度の確認

2018年3月期の数字を用いて計算する。

  • 営業利益:312億円
  • 税引き後営業利益(営業利益×0.6):187億円
  • 疑似配当総額(税引き後営業利益×0.4):75億円
  • 擬似ROE(税引き後営業利益÷自己資本):17%
  • 将来配当予想(疑似ROEが17%なので3倍):224億円
  • 時価総額(株価×発行済み株式数):2,834億円(2019/3/11終値)
  • 配当利回り(配当÷時価総額):7.9%(2%以上で合格)
  • 上値目途(配当利回り÷1.6%):5倍
ということで将来的には5倍になる可能性があるという計算になる。

2012年の東証一部上場以降、順調に右肩上がりで株価が上がってきたが、2018年1月に最高値をつけてから2018年の1年で約40%株価を下げた。
株価を下げた要因はよくわからない。
提携金融機関が信用金庫・信用組合は95%前後、銀行は8割超とこれから増やす余地はあまりなく、残っているのはJAくらい。(現時点のJAの提携シェアは約43%)
提携金融機関を今後それほど増やせないだろうということで、今までほどのペースで保証債務を増やせないだろうとの見立てなのか?
まぁでもそれだけ提携金融機関が多いということは、それだけ顧客を増やしやすいだろうし、なにより事業の特性から売上などが安定しているのがよい。

ということで、こちらもいくらか保有している。

山本さんの本はこちら。