2017年9月17日日曜日

萩野琢英著「211年の歴史が生んだピクテ式投資セオリー」を読了

表記の本が図書館にあったので借りて読んだ。2016年10月発行なので比較的新しい本である。
著者の萩野さんという方はピクテ投信投資顧問株式会社の代表取締役社長。
さわかみ投信の澤上篤人さんも以前ピクテにいたので、そのピクテがどのような考え方で投資をしているのか興味を持ったので借りてみた。

1.ピクテについて

まずピクテという会社は1805年にジュネーブに設立されたプライベートバンクで欧州の名家の資産運用を中心に手がけている。2000年にピクテの資産管理運用額は10兆円程度だったのが2016年3月末には約50兆円になっている。それだけ順調ということだろう。
ピクテの投資哲学は著者によると「けっして欲張ることなく、徹底した分散投資を長期にわたって実践する」ということ。資産運用の考え方は「資産保全」であり、資産保全とは「顧客の資産の価値を物価上昇、災難などから守ることを目標とした運用」のことである。そのために

  1. グローバル分散投資
  2. 長期投資
を実行しているらしい。長期投資の「長期」とは少なくとも10年、あるいは20年以上である。

2.著者が提案する資産運用の考え方

著者は資金を下記の5つに分割して投資しようと提案している。
  1. 預貯金でなければならない資金
  2. 欲張らない投資
  3. ちょっと欲張った投資
  4. 育てる投資
  5. スパイス的な投資
要はコア・サテライト運用である。
これらの資金の配分は
  1. 預貯金:2年以内の出費を予定する資金
  2. 欲張らない投資:5年以内の出費を予定する資金
  3. ちょっと欲張った投資:5~9年投資できる資金
  4. 育てる投資:残りの60~95%
  5. スパイス投資:残りの5~40%
としている。4と5の比率は年齢によって変えるよう提案しており、自身の年齢が高いほどスパイス投資を低めとしている。

3.各々の投資対象

3.1「欲張らない投資」

この投資では物価上昇率程度のリターンを目指し、昔だったら株式と債券の両方に投資していたが、昨今の超低金利・マイナス金利で債券ではリターンが得られなくなったので、REITやオルタナティブ運用にも分散させているらしい。ピクテの商品で言うと「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド」がその考え方で運用をしているらしい。


3.2「ちょっと欲張った投資」

この投資では「程よいリスクで程よいリターン」を目指すとし、為替ヘッジした世界の公益株式ファンドやハイイールド債・新興国債ファンドを勧めている。

3.3「育てる投資」

世界分散型の株式ファンドか、株式の比率が多めのバランスファンドを10年以上は持ち続けるイメージ。

3.4「スパイス的な投資」

単一市場・単一投資対象に絞り込んだ投資。投資対象(市場・地域・分野)が成長する領域であること。例として新興国株式ファンドとかバイオ医薬品関連を挙げている。


自社がアクティブ運用をする会社だからか、インデックス運用とアクティブ運用の比較とか、そういう話しは出てこない。

4.自分に当てはめて考えると

自分に当てはめて考えてみると、自分の場合は債券・バランスファンドには全く投資していないので「欲張らない投資」ができていない、「欲張った投資ばかり」ということになってしまう。まぁでもある程度の期間投資できる資金を自分のリスク選好度を考えながらやっているからいいのでは?と思ってしまう。
最近個別株で、日本株だったら低PER・PBR高配当株とか、アメリカ株でJNJとかMMMとかの配当王銘柄を買っているのがミドルリスクミドルリターンに相当するだろうか(比率はぜんぜん低いけど)。そして、AMZN、GOOGL、NVDAがスパイス投資になるな。

ピクテに資産管理を依頼するような資産家はすでに十分な資産を持っているから「保全」する程度で良いのだろう。自分の場合はリスクの取り過ぎに注意しながら今までどおりやっていこうと思う。

5.ピクテのファンドの報告書にて

本を読みながらピクテが運用するファンドの報告書を見てみた。すると他社ではあまり載っていない情報が載っていた。
月次報告書の中にファンドの基準価額の変動額の内訳が投資対象ごとに明示されていた。

  • コモディティ :  +0円
  • 株式     :+484円
  • オルタナティブ:+206円
  • 債券     :+351円
  • 先物     :   -1円
  • 分配金    :  0円
  • 信託報酬等  : -442円
  • その他    :+165円
となっている。まぁ知ったからと言ってどうってことはないが、それぞれの寄与度はこれくらいなのね、とわかる。あと信託報酬の影響度合いもわかりやすい。




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